ベリーダンスの衣装とアラブ世界

ベリーダンスはアラブの踊りで、セクシーなコスチュームを着て魅せる踊りに見えますが、本来は宗教色が強く、作物の豊饒や出産、結婚式のお祝いに踊られるダンスです。しかも王侯貴族の社会で行なわれるもので、一般人には縁遠いものでしたが、イスラム教が広がったために、元々のベリーダンスの性格が変わり、庶民の娯楽として踊られるようになりました。アラブ世界ではベリーダンスとは呼ばず、東洋の踊りを意味するラクス・シャルキー、もしくは民族舞踊を意味するラクス・バラジと呼んでいます。ベリーダンスという名前は、1893年のシカゴ万博の時に命名されたものです。アラブの女性には顔や身体を隠す習慣がイスラム教の教えの影響で残っています。そんなアラブ世界で、ベリーダンスで着用される露出度の高い衣装は矛盾しているように思うかもしれませんが、ベリーダンス自体は、イスラム教がアラブ世界に広がる以前からあったダンスなので、価値観が全く違った時代の産物と言えます。

ベリーダンスの基本動作

現在のアラブの国でのベリーダンスの踊り子の地位は、単なるダンサーではなく芸能人や俳優として見なされ、トップダンサーともなると収入は相当な額になるといわれています。最近日本でもダンスブームで、インストラクターが足りないほどベリーダンスのダンス教室の人気が高まっているそうです。ベリーダンスは腰やお腹を中心として、腰をくねらすような独特の動きをしますが、五つの基本動作から構成されます。腰を振るわせる動作をベイシックヒップシミ−と言います。肩の基本動作はベイシックショルダーシミ−です。身体を波立たせるような基本動作はボディウエーブです。お尻の上下の基本動作は、ヒップドロップといいます。お尻でエスの字を書くような基本動作がフィギュア8です。これらの基本動作を組み合わせ、手などの細かい動作も加えることで、ベリーダンスは構成されます。

ダイエット目的のベリーダンス

ダンスの動作の難しさもありますが、ベリーダンスが難しいのは、すべて即興舞踏である事です。つまり、踊り手が音楽に合わせて、感情表現をその場で表現する必要があり、本来の意味でのベリーダンスを踊るためには、長い修練が必要となってしまいます。とは言え、それはプロのベリーダンサーに関することで、一般の人にとっては、見せるためにベリーダンスを踊るのではなく、ダイエット目的でダンス教室に通うという人がほとんどです。人前でベリーダンスを踊るには、よほどボディに自信がないと出来ないでしょう。

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